20代で独立してから、その後ほとんどずっとフリーランスで仕事をしています。いまは都内にスタジオを構えていますが、独立してしばらくの頃は「すぐに事務所を借りるべきか」についてすごく悩んだ時期がありました。近年はバーチャルオフィスやシェアオフィスといったサービスが盛り上がっていますが、はたしてそういった場所を借りるべきなのでしょうか。個人的な意見をまとめます。
目次
バーチャルオフィスを借りた方がいい人
おもに2パターンです。
「信頼感・信用」を得たいケース
独立してすぐは「どんな人なのか?実績はあるのか?」とどうしても値踏みされてしまうことがあります。
残念ながら、人の価値をレッテルで判断する人は非常に多いです。
気にしなければいいのですが、フリーランスの独立以外に、すぐ法人を設立した場合など「事業を構えている場所=信用」という目で見られがちです。
もしあなたが商品のプロデュースやブランディング、モデルのマネジメントといった仕事をしている場合、「南青山」などに事務所があった方が圧倒的に信頼感が高まります。
住所を知られたくないケース
家族がいたり、女性の一人暮らしだったりする場合です。セキュリティ的な設備がない平屋だと、不安に感じる方もいるでしょう。
ちなみに、僕は三軒茶屋に小さい事務所を構えていたことがあるのですが、当時あるコンテストの審査員を行なっていて、応募者が選考結果を聞きたいと突然訪ねてきたことがあります。
オートロックがついたマンションだったからよかったのですが、正直怖かった…。
フリーランスワーカーではありませんが、「ストーカーの被害にあって、不在中に鍵を開けて部屋の中を荒らされた」という女性もいました。
あまり住所は教えたくないというのが多くの人の本音だと思います。
家族に迷惑をかけたくないケース
小さいお子さんがいらっしゃるご家庭だと、仕事でバタバタしているところを見せて迷惑をかけたくない、ということもあるでしょう。また、ライターや編集職の場合は「一人で集中して原稿を書きたい」という時があるのは事実です。
バーチャルオフィスは借りるべき?
まずひとつは、職種にもよるかな?と思います。
すでにご紹介した通り、一部の特殊な業種に関しては、バーチャルオフィス的な場所を借りていた方が好都合でしょう。
次に、セキュリティーに関する部分。このあたりは判断が非常に難しいですね。ある程度リスクを取るのか?月額のコストを負担しても、安心感を取るのか。
「名刺や署名欄に住所を書かない」という方法もいますが、ギャラの支払い後、税務処理のために支払調書を送ってくる際に、住所がわからないとトラブルになることもあります。
バーチャルオフィスに関する個人的な意見
ミエで借りるべきではない
長いことフリーで仕事をしてきましたが、大手クライアントは意外とその人の出自などを気にしていないことが多いです。人を値踏みするような相手とは、仕事をしなければいいんです。でないと、取引が始まったあとで大変になりますので。
(もちろん、セキュリティが契約内容に含まれている仕事は別です)
打ち合わせスペースの有無を確認
バーチャルオフィスには、打ち合わせができる共用部などが併設されている場所がありますので、そういったところが利用できる施設だとなおいいです。
もしくは、近隣にカフェなどがあれば、打ち合わせスペースとして代用するのもいいでしょう。
もしカフェがあったとしても、日頃からすごく混んでいる場所だと難しいことがあります。
物件を契約する前に、事前のリサーチをおすすめします。
予算を決めて契約する
月々の賃料は積もり積もると大きな金額になります。
できるだけ少額で「支払える範囲内」の物件を契約するのがポイントです。
目安としては、月2〜3万円ぐらいの場所だと現実的ですが、それ以上だとかなり大きな出費になってしまいます。
事業規模が徐々に大きくなっていけば賃料に回せる費用も増えてきますので、最初はなるべく出費を抑えた方が無難です。
あなたのフリーランス生活はこれから長く続いていきます。無理をせず、長期的な視野で考えていくようにしましょう。
結論
ちなみに、バーチャルオフィスではありませんが、僕自身は事務所を無理して借りて失敗した経験があります(笑)。
当時の事務所は月額の家賃65,000円、光熱費を合わせると7〜8万円の維持費で、さらに駐車場3万円に加えてクルマの維持費もあり、毎月かなりの出費でした。
解約のきっかけは東日本大震災後に仕事が急激に減って、すぐに回復が見通せなくなってしまったこと。その後は自宅兼事務所に移行しました。人生、何が起こるかわかりません。
まとめ
フリーランスとして独立後、バーチャルオフィスを借りるべきかどうかについては「少額で、自分が支払える範囲内」であればOK、というのが個人的な意見です。
もし、借りなくてもよいのであればその方がいいのですが、職種によってはちゃんとした職場の住所があった方がいいというケースもあるでしょう。
ただ僕の経験上、背伸びをして借りても、後々契約を解除することになってしまったら元も子もありません。
「どうしても事務所が必要」というタイミングが訪れた時に、借りるのがベストだと思います。