ダイナミックな動画撮影に必要なテクニックがカメラワークです。特にミラーレスや一眼レフを使って撮影する際に基本となるカメラワークにはパン、ティルト、ロールと呼ばれる動きがありますが、それぞれどのように違うのでしょうか。わかりやすく解説します。
カメラを動かす「軸」の向きを意識する
動画撮影においては、固定されているカメラの前で被写体が動くだけでなく、さまざまな方法で被写体に合わせてカメラの位置や向きを動かすことで、幅広い表現が可能になります。
撮影の際、意識的にカメラワークを取り入れることで被写体の魅力を最大限に引き出すことができるようになります。
その上で、押さえておきたいのが「パン」「ティルト」「ロール」の3軸の動きです。
パンとは?
カメラワークのパンとは、被写体に向かってカメラを左右に振りながら動画撮影する方法です。
カメラを左から右に動かしながら撮影するのをパン、反対にカメラを右から左に動かしながら撮影するのを逆パンと言います。
左から振るか、右から振るかで呼び方が異なります。このカメラワークのメリットは、いきなり被写体を撮影するよりも横からパンをすることで余韻を持たせながらスムーズに撮影することができることです。
静止画よりも一連の流れが大切になる動画撮影だからこそ、横から被写体に向かって動きを振ることで違和感なくスタートさせることができます。また被写体のバッグの構図に合わせて違和感なく撮影したり表現したりするときもパンの技術を活用します。
ティルトとは?
左右に動かすのがパンですが、カメラを上下に動かすことをティルト(チルト)と言います。カメラを垂直に動かすことで縦長の被写体をダイナミックに撮影することができます。
また人間などの被写体を頭からつま先まで全て撮影するときなども、カメラを上下に振るティルトのテクニックが役立ちます。1回の撮影で全体像がうまく映らないときに役立つため、ゆっくり上から下まで撮影すると、見ている人にしっかり被写体の魅力を伝えることができます。
写真撮影におけるティルト
じつは、写真(静止画)の撮影でもティルトという用語を用いることがあります。写真撮影時のティルトとは、レンズの軸をずらしてピントの奥行きを調整することをいいますが、動画の動きとは異なる部分もあり、少しややこしくなるので今回は触れないことにします。
おもに、小物や料理などを撮るときに必要な技術で、35mmカメラだとシフトレンズ(キヤノンはTSレンズ、ニコンはPCレンズ)という特殊なレンズを使って撮影します。
ロールとは?
カメラワークでは上下左右の振りが大切ですが、さらにナナメの動きをロールといいます。カメラ本体を、振り子のように動かす動作で、躍動感を演出することができます。遊園地に、通称バイキングという海賊船型の大型ブランコがありますが、動きとしてはあれを横から見た感じです。「首をひねる動きと同じ」という表現だとわかりやすいでしょうか。
カメラ自体が横に揺れることで、地平線が左右に傾くような映像が撮れます。
パン、ティルト、ロールをあわせた左右、上下、ナナメの動きをあわせて3軸といい、ミラーレスカメラや一眼レフカメラの動画撮影で使用するジンバル(カメラのブレや振動を抑える装置)を扱う上で大切な知識になります。
あとがき
いまは誰でも動画撮影を行い、気軽にYouTubeなどにアップロードできる時代です。
他の動画との差別化を図るために、基本的なカメラワークとなるパン、ティルト、ロールの3軸を十分に理解しつつ、さらにブレないようにジンバルなどの機材を駆使することで、素敵な作品を世に送り出すことができます。まずはパン、ティルト、ロールから始めて、さまざまなカメラワークを学んでいきましょう。