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フォトグラファーが自社スタジオを借りるときの物件探し方法

2020年6月15日

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フォトグラファーが自社スタジオを借りるときの物件探し方法

2020年6月15日

「自分の撮影スタジオが持てたらいいな」と考える人に向けて、スタジオの賃貸物件を探すときに僕が苦労したり悩んだりしたポイントを公開します。実際に、物件を見つける際に検討した条件も詳しく紹介します。
「これから写真の仕事をしたい」「いずれは自分のスタジオを持ちたい」という人に向けた記事になります。

オシャレ物件での仕事はみんなの憧れ

「シャレオツな撮影スタジオが持てたらいいな」っていうのは憧れですよね。
僕も、東京に出てきた頃は、おしゃれリノベ賃貸物件のサイトをながめながら「いつか、こんなところで仕事ができたらいいな…」と妄想していました。
でも、「家賃払えんだろうし、ながめるだけで満足」「どうせ田舎もんだし、だまされる(偏見)」とあきらめる日々が実際には続いていて、まさかその後に自分がスタジオを借りるとは、想像もしませんでした。

そんな夢を叶えた今……。どんな心境かというと、意外と普通です(笑)。
言ってみればただの「職場」ですので、大した感慨はありません。
それどころか、毎月の家賃が大変だな~という感じですね。
そんな僕が、物件探しをしたときの経緯をまとめてみたいと思います。

スタジオを借りた経緯

当時は紙媒体の「SHUTTER magazine(シャッターマガジン・全国書店で発売)」を3カ月に一度出版しながら、写真の仕事を並行してやっていました。
あるときスタッフが1名やめることになり、人出の問題もあってまた写真の仕事に軸足を戻すことにしました。

たまたま大きな仕事が入ったときに気合いを入れて物件探しをして契約。なんとなくそのタイミングを逃すと次の機会は先になりそうだったので、ほとんど勢いでした。

重視するべき条件

物件探しで重視したのは以下のポイントです。

家賃

これは当然ですね。固定費なので安ければ安いほどいいです。

広さ

当時は自宅兼事務所で30㎡(平方メートル、約10坪)の部屋に住んでいましたが、家財道具があり、間取り的にも撮影するとなると6畳ほどのキッチン側のスペースしか使えなかったため、広さは重要でした。
希望としては50㎡(平方メートル、約15坪)程度を目安に探しました。

天井の高さ(天高)

スタジオ探しをするのに、天高はとても重要です。
人物撮影をするとなると、一般的なアパート、マンション物件では高さが圧倒的に足りません。全身撮影の際に、天井が写ってしまうんですね。天井までの高さは最低で2.3メートル、可能であれば3メートルほどあればベストです。
一般的な建物は規格で大体天井の高さが決まっているため、「天井もしくは床が抜いてある物件」もしくは「スケルトン物件(施工前の状態)」を探すことになります。

アクセス

スタジオ探しする際に、物件の種類は立地という観点からすると、2パターンに分けられます。

「アクセスの良い場所だけど狭い」
「アクセスはいまひとつだけど広い」

基本的には、上のどちらかを選ぶことになります。

都心部で両方を満たす物件の数は少なく(そもそもスタジオで利用できる物件の絶対数が少ないため)、見つかったとしてもすぐに埋まってしまう可能性もあるので、見つけたらすぐに契約するかどうかの判断が必要です。
最寄駅からの距離も、5〜10分以内(できるだけ駅近)が望ましいです。

物件を探した方法

基本的にはネットで探しました。忙しくて不動産まわりをする余裕がなく、スキマ時間にいくつかのサイトを見て、気になる物件があれば問い合わせをして内見、という流れです。
どのようなサイトを利用したかは、本記事が思いのほか長くなったので、別でまとめました。
<リンク 【撮影スタジオ兼 事務所探し】実際に利用したリノベ賃貸サイトを紹介>

そもそもの物件数が一般住宅に比べて少ないため、「家賃」と「アクセス」の2条件である程度絞り込みができます。
ただ、焦っていまいちの物件を契約するよりは、少し気長にかまえて、よい物件がみつかったらすぐ内見!の方がいいかもしれません。(急いで探しても、2~3カ月ほどかかる可能性はあります)

スタジオ物件探し時に注意したい点

引きと天高

人物撮影の場合、一般的にモデルの立ち位置から最低4メートルは引きの距離を確保できないと、全身撮影ができません。内見時には、メジャーを持って行って測りましょう。
また、高さも大事です。最低2.3メートルは必要です。

日中の採光

直射日光が強すぎないかどうかも確認が必要です。
一般の物件なら「日当たり良好」でいいかもしれませんが、日差しが強すぎると撮影スタジオとしてはマイナスです。しかも直射日光が入る場所だと厳しくなってしまうので、日の明るい時間に確認しましょう。心配なら2~3回内見してもいいです。
日が当たりにくい物件(地下など)でも大丈夫です。日当たり条件が悪いと、家賃が安くなる可能性もあります。
ただ、毎日通うこと(&忙しいときは寝泊まりするかも?)を考えると、地下はどうなのかな~と個人的には思います。たまにはお日さまを浴びないと精神的に病んでしまうかも…です。
僕はたまたま、直射日光が当たらず、日中は拡散光が入る条件のいい物件が見つかったのでラッキーでした。

ストロボの使用や人の出入りが問題ないか

個人としての契約だったとしても、事務所(スタジオ)として利用するわけなので、事前に不動産業者と相談しておきましょう。場合によっては夜中にストロボをピカピカたいて撮影をするかもしれません。そのときにクレームにならないかどうか、また、クライアント立ち合いなどで人の出入りも多くなる可能性があります。
「事務所使用不可」という物件でウソをついて借りても絶対ばれるのでやめましょう(笑)。
でも、事務所使用不可だけど素敵な物件ってたまにあるんですよね。。

景気が悪い時にも維持できるかどうか

家賃は固定費です。毎月支払い続ける必要があります。
突然、震災やコロナウイルスなどで仕事が激減するかもしれません。
1~2カ月は無収入でも維持できるぐらいの資金的な余力がある状態で借りた方が望ましいです。

一般住宅はなるべく避けた方がベター

いろいろリサーチした結果ですが、結局スタジオとして利用できる物件は限られてしまいます。

・撮影スタジオとして使われていた居抜き物件
・事務所物件
・スケルトン
・ガレージなどの倉庫物件(電気やトイレがない場合あり)

という感じで、一般住宅だと撮影が不向きなことが多いです。(間取りの問題で引きが撮れないなど)
僕のまわりでも自宅兼事務所を借りてスタジオを始めた人はいますが、一般住宅だとあまりうまくいかずに手放したり、別の場所を借りたりすることが多いように感じます。

スタジオが見つかるまでの経緯

内見した物件は3カ所、たくさん内見するつもりでしたが、意外と少なかったです。

1軒目の内見

ひとつは八丁堀から徒歩5分の場所。
お店屋さんの2階でした。
古い物件でしたが、掃除をして自分で細かいところに手を入れればいけそうでした。
家賃は安価で、駅からのアクセスもそれほど悪くなかったのですが、自宅から遠かったこともあり、あまりピンとこずに契約しませんでした。

2軒目の内見

次に、原宿の物件。実際の場所は千駄ヶ谷です。「渋谷区神宮前」だと家賃がものすごく高くなります。。「原宿にスタジオを持つ」というのに憧れもありましたが、

「少し冷静になれよ」

ともう一人の自分(リトル山田)から諭されました。

正方形の間取りで、人物撮影には少し狭い印象を受けたのでいったん保留。

3軒目の内見

最後に、現在の物件です。
見た瞬間、ピンときましたが、すぐに決められない性格。
石橋を叩きすぎて壊してしまうぐらい、初めての物事に挑戦するときは慎重なんです。
契約するか迷っていたところ、別で申し込みが入ってしまい、泣く泣く断念。。
「あ~、もうしばらくあんな物件出てこないよな。失敗したな…」としばらく落ち込んでいたところ、不動産屋さんから電話があり。なんと別の階の部屋に空きが出たそうで、「まだ情報を出してないんだけどどうしますか?って大家さんから連絡がありました」とのこと。
まだ入居中で内見はできませんでしたが、早いもの勝ちで間取りも別の部屋で確認していたので、すぐに申し込みました。
ただ、うちは家族が母親ひとりですでに高齢だったため、保証の件で一度大家さんと面談をすることに。
支払い資力や仕事の実績などをアピールして、なんとか契約できました。

契約にかかった費用

敷金・礼金、仲介手数料、前家賃を合わせて約100万円弱だったと記憶しています。その後に机などの備品を購入したので、初期費用は総額120万円ぐらいでした。
ただ、契約を急いだものの、自宅兼事務所で仕事をしていたため、すぐにスタジオでの仕事は増えず。
最初の半年から1年ぐらいは、撮影で使うときだけ通っていたので、月に2~3回ぐらいしか通っていませんでした。
正直「だれかに貸しておけばよかったかな…」とも思います。
最初は、使っていない日にレンタルスタジオとして外部貸しすることも考えたのですが、コスト計算をしてみたところ、自分の撮影と並行して貸し出しをしても、難しそうなことがわかりました。
「機材が壊れた」「床が傷ついた」みたいなことで揉めるのもイヤだったので、結局外部レンタルとしては知人のフォトグラファーか、アシスタントにしか貸し出ししていません。「空いてたら使っていいよ」レベルなので、利益は出てません。
<リンク レンタルスタジオを運営して利益を出す方法を考察>

契約後にしたこと

撮影に必要な最低限の機材は保有していたので、すぐに自宅からスタジオに移しました。
ただ、当時はスタジオ撮影メインではなかったので、本格的に職場を移行したのは1年ほど経ってからです。
それまでは自宅から直接、現場に向かうことが多かったので、前の晩に機材を持って帰る、みたいな2カ所生活をしていました。

撮影機材の移動

撮影用の大型ストロボ、スタンド類(ストロボをセットするもの)、背景紙、オートポール(背景紙を固定するための突っ張り棒)などです。

白い長机の購入

サイズは150cmx45cmと、180cmx45cmの2種類を2台ずつ購入しました。
打ち合わせや、商品を並べる際に使います。ヘアメイク用にも必要です。折りたためる方がスペースをコンパクトに活用できます。1台1万円ほど。
イスは以前イケアで購入して事務作業用に使用していたものがあったので、そのまま流用しています。
ただ、イケアのイスは日本人には少しサイズが大きすぎる場合があり、腰痛の原因になる可能性があるので注意です。
家具はこうしたサイトで探しています。
<リンク オフィス家具購入>

木のテーブルの購入

小物の撮影用に買いました。一度購入すると長く使うため、多少予算多めに設定してもいいと思います。僕はテーブル1台とイス2脚で5万円ほどの物を購入しました。
いまもその机でこの文章を書いています(笑)。
<リンク おしゃれ家具購入>

電気、水道の契約

ライフラインですね。マストになりますのですぐ契約しました。月々の固定費になるので、家賃と水道光熱費を合算した金額で「毎月いくらまで支払える」という予算を組みましょう。

ガスの契約

基本的に撮影でしか使用しない場合、ライフラインは電気と水道だけで大丈夫です。
料理撮影をする場合はガス契約が必要です。
僕の場合、ガスは撮影が増えてから契約しました。基本料金を節約するためです。

WiFiの契約

月々の固定費なので、半年ほど経ってから契約しました。案件数が増えて、徐々に自宅からスタジオに作業環境を移行するようになってからです。
WiFiは安価なプロバイダーを選べばOKです。
<リンク WiFI記事>

ネットをあまり使わない&外での撮影も多い人は、ポケットWiFiの方が便利かもしれません。

電気&ガスをまとめると安くなりますのでおすすめです。

<リンクASP サービス比較記事>

スタジオを借りた結果

順調にスタジオでの仕事が増え、ほとんど毎日何かしらの作業をしています。
ただ、最初は撮影業務を増やすための仕組み化に試行錯誤したこともあり、1年ほどは苦戦しましたね。
最寄り駅からのアクセスもよく、ターミナル駅にも歩いていけるため、物件自体はとても気に入っています。
たくさんの撮影の思い出が増えてきて、もっといろんな仕事ができればと考えています。
課題としては、10人以上の立ち合い撮影のときなどはさすがに人口密度高いな…と感じてしまうこと。
現状より広い場所に引っ越すとなると、なかなか良い物件がなく、もう買っちゃった方がいいよね。。という金額になります。
(とはいえ、新築で1ルームの広い物件はほぼないと思うので、リノベ物件を探すしかないのですが)
おかげさまで普段忙しいとはいえ、波はあるので固定費はなるべく削りたく、今後については悩ましいところです。

まとめ

今回は僕のスタジオ探し時の情報をまとめました。あくまでも個人の意見です。
スタジオを持つだけで仕事が増えるわけではありませんし、人によって向き不向きがあります。
全員に当てはまるわけではないですが、ゆくゆく撮影スタジオを持ちたい、という人には参考になるかもです。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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