初めて取材が来た!というとき「インタビューってどうやって録音するの?」と戸惑うことは多いはず。今回は、ライター初心者の方に向けて、録音機材(ICレコーダー)の選び方や、録音の仕方についてまとめてみました。「これからインタビュー取材にどんどん挑戦していきたい」という人に読んでいただきたい記事です。
目次
僕が普段やっている仕事
僕はフリーランスとして長く仕事をしています。
現状は9割ほどカメラ(撮影)の仕事をしていますが、もとは雑誌の編集部にいた関係で、取材やインタビューに関わることも多いです。企業関連(社長や事業担当者のインタビューや、採用サイトなど)の取材が多いのですが、座談会や議事録の取りまとめといった仕事もあります。映画やイベントなどの囲み取材に同席することもあります。
基本的にはディレクション(方向性の確認&ライター手配、内容のチェック)側として動くことが多く、現場ではライターさんに仕事をお願いする立場です。
ただ、ときには自分でインタビューをして原稿をまとめることもあります。
録音機材の選び方
ICレコーダー
テレビドラマやニュースなどで見たことがあるかもしれませんが、今後インタビューの仕事が増えてきそう、という人は、まずレコーダー(ボイスレコーダー、ICレコーダーともいう)を買いましょう。
基本的に最初は5,000~6,000円以上のものを買えば大丈夫です。パソコンに接続できるものがほとんどです。
うちで使っているレコーダーはこのレベルですが、特に問題なく取材できています。
機材を買うことで「プロのライターなんだ」という自信が持てます。
取材を重ねて経験値が増えてきたら、取材のレベルも徐々に上がってきますので、8,000円~1万円以上のものを購入してもいいでしょう。
一眼レフカメラを買うより、設備投資としてはかなり安いですね。
特に重視したい機能は、
・パソコンとつなげる
・音質
・操作方法がシンプル
・USBで充電できる(乾電池式でもOK)
・再生が簡単(文章を起こすときに便利)
・容量
ですね。あとの機能はひとまず不要です。
高機能すぎると操作が複雑になってしまうので、現場でパニックになってしまうことがあります。最初はなるべく簡単に録音できるものを選びましょう。
一般的には高価なものほど音質が良くなり、機能が増えます。
録音の仕方
最初に挨拶と名刺交換をして(名刺交換しない場合もあります)、取材に入ると録音が必要です。
マストではありませんが、「取材のため、いまから録音をさせていただいてもよろしいでしょうか?」と確認するのがマナーです。バタバタしているときや、クライアント企業とある程度の信頼関係が構築できているときは、省いてもかまいません。
ただ、イレギュラーなのですが、最初の挨拶時に取材先企業と担当者(WEB制作会社やメディア編集者など)の間で、雑談から話がどんどん進んでいってしまうことが時々あります。
挨拶後、「いまからインタビュー開始!」という感じで取材対象者が時間通りに入ってきて、そこから取材が始まる場合はいいのですが、割と最初に大事なことを担当者同士で話すこともありますので、このときもできれば録音をしておくようにしましょう。(可能な限り、録音スタート時は断りを入れます)
録音機材のセット方法
レコーダーなどの録音ボタンを押して、取材対象者と自分の間にセットします。両方の声が拾えるように、中間ぐらいの位置に置きましょう。このとき、マイクを取材者の方に向けて置きます。
初めてインタビュー取材でレコーダーを使用する場合、「録音ボタンが押せていなかった」「何らかのエラーで録音できていなかった」というトラブルを避ける必要があります。前の晩までに、テストして操作方法を覚えておきましょう。
充電が足りないと困ったことになるので、前日までに必ず充電を済ませておきます。(充電できないタイプは、電池の残量を確認しておきます。予備の電池もしっかりと持っていきましょう)
取材対象者の声が小さい場合、カフェなど店内の音楽や雑音が入る場所だと、あまり声が拾えていないことがあります。「すみません、録音で声が拾えないので、もう少しだけ大きな声でお話しいただけますか?」とお願いしましょう。丁寧にお願いすれば失礼ではありません。むしろ、録音できていない方が失礼になります。
また、スマホ(iPhone)などでも同時に録音しておくことをおすすめします。現場でのバックアップ、という意味合いがありますので大事です。
スマホ(iPhone)などで録音する場合
意外とやってしまいがちなのは、スマホ(iPhone)だけで録音する場合です。プロのライターとして活動する人は、なるべくレコーダーを使用しましょう。
スマホを使ってもいいのですが、例えるとカメラマンが撮影にコンパクトなミラーレスを持っていくようなものです。マイクの音質も異なりますし、クライアントによっては難色を示す場合もありますので、気をつけてください。
ただし、何らかの理由(レコーダーを忘れた、調子が悪くなった)という場合は、スマホでも大丈夫です。絶対NGというわけではありません。
スマホ撮影時には「機内モード」に設定
スマホを使う場合、電話がかかってくると録音が途切れてしまうことがあります。大切な取材は、録音できていないとやり直しがききません。機内モード(エアプレーンモード)にすると取材中は電話&メールで遮られることがないため、便利です。必ず実行しましょう。
また、とっさにスマホで確実に録音というケースは多いため、スマホは取材前日にしっかりと充電しておきましょう。
余談ですが以前、撮影の仕事に同行した現場で、編集部の方が取材対象者にスマホでインタビューされていました。途中で着信があり、そのタイミングで録音が途切れてしまっていたみたいで、取材終了後に「やばい、ほとんど録音できていなかった…」ということがありました。
結局、記憶を頼りに原稿を書かれたみたいだったのですが、フリーライターだと謝って済まされない場合があります。録音ミスには気をつけましょう。
人数が多い「座談会」などを取材するとき
人数が多い座談会(例として5人以上)などでは、1台のレコーダーで、端から端までの人の声をすべて均等に拾うことが難しくなってしまいます。真ん中に1台セットしてもいいのですが、念のため、2箇所にセットするようにしましょう。長テーブルの場合、それぞれの端に近い場所にセットすると聞き取りづらい声を少なくすることができます。
1台しかレコーダーがないときには、もう1台はスマホをセットしましょう。なるべく同時に録音をスタートさせると、文字起こしをするときに便利です。(録音スタート時間が異なると、Aでは5分〇〇秒、Bでは7分〇〇秒みたいなズレが生じます。急いで起こしをするときにはなかなかタイミングを同期できず、結構ストレスになります)
こうした座談会などでは、レコーダーとスマホの音質差がはっきりと出ます。なるべく高価な機材を利用した方が、録音精度は上がります。
準備万端!だけどトラブルも…
これで準備万端です。とはいえ、人間だれしもミスをしてしまいがちです。録音ができていなかった、声が聞き取りずらかった…など、取材後に気づいて焦ってしまう、という経験をしている人は多いはずです。
そうしたことが起こらないように、なるべく現場で仕事を発注してくれた担当者に「今日は突然人数が増えたので、手持ちの機材で録れているかどうか確認が必要」「雑音が大きかったので」とすぐに報告するようにしましょう。
担当が現場に同席していなかった場合は、取材後すぐに連絡します。「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」が大切です。
ただし、「充電していなかったので録音できませんでした」という理由はダメです。。
しっかりとした機材で録音しましょう
今回は、これからライターとして活動される方に向けた録音の仕方(レコーダー、スマホ)を解説しました。
最初は特に緊張しますので、使い慣れた機材があるかどうかは成否に大きく影響します。
早めの段階で手に入れておくと気持ちが楽です。
取材が得意なライターさんは重宝がられます。焦らず少しずつ、スキルアップを目指していきましょう。