報道やスポーツなど、激しい現場の第一線で活躍するプロフォトグラファーたちは、ストラップの結び方も一般的な方法と異なります。その結び方とは「ニコン結び」です。「報道結び」「プロ巻き」と呼ばれることもあるストラップの結び方について、解説します。
ストラップはカメラの一部
今回は、カメラのストラップの取り付け方のお話です。みなさんは、カメラにストラップをつけて持ち歩いていますか?
用途がブツ撮りオンリーでカメラを三脚に据えっぱなしにしている場合など、よほどのことがない限り、カメラにはストラップを装着していることと思います。
カメラを新品で購入すればストラップは必ず付属していますし、カメラの取扱説明書でも一番最初の方の「撮影の準備」の項でストラップの装着について説明されています。この事実も、カメラにはストラップを装着して使うのが前提、ということにほかなりません。
そもそも、どうしてカメラにストラップをつけるのか
カメラにストラップをつける理由
- カメラの落下事故の防止(まぁ当然です...)
- 可搬性と速写性の向上(持ち運びの際にわざわざバッグに入れなくてもいいから。またバッグに入れず肩や首にかけておくことで、シャターチャンスに出会ったときに直ちに撮影できる etc.)
- 撮影の補助具として使う(手首に巻きつけて手ブレを軽減させるなど)
- 紛失や盗難の防止(海外などでは、脇に置いたり、手に持っているだけだったりすると、持ち去りや強奪の被害にあう危険性も)
- ファッション、自己表現のアイテムとして(いまどきはカッコいいストラップ、いっぱいありますよね)
など数々のメリットがあります。
だからこそ、ストラップの取り付け方においては自ずと、「脱落しないように確実に固定」でき、「撮影の助けとなるも邪魔にはならない」、そして「見た目にカッコいい」取り付け方がよい取り付け方である、ということになります。
あなたのつけ方は?
一般的なカメラストラップはこのような作りになっています。
肩や首に触れる部分は、カメラの重量を分散させるためにある程度太く、カメラに取り付ける部分には10mm幅程度の頑丈なポリプロピレンのPPテープが使われています。テープ部を固定するためには、アジャスター、サルカンと呼ばれる部品が用いられます。
実際、ストラップをどのようにカメラに取り付けているかというと、世間でよく見かけるのはこんな感じ。
ここをご覧のみなさまも、このどちらかのつけ方をしていることが多いのではないでしょうか。
多くの人が実際にこの二つの方法でストラップをカメラに装着して、大きな問題なく撮影したり持ち運んだりしているわけなので、間違った付け方というわけではもちろんありません。カメラやストラップを買ったときについてくる説明書にもこれらの付け方が説明されていることも多いですし、緩んでカメラの落下事故が起きるようなこともそう簡単には起こらないでしょう。
しかしちょっと気になるのが、このどちらの付け方でもPPベルトの先端がペロンとはみ出してしまうところ。。
見た目にちょっとアレなのもそうですが、実際にカメラを構えてみると、このベルトの端が顔に当たったり、さらに言えば目に入ったりして非常に煩わしいということがままあります。超広角レンズを使うときなど、ベルトの端が画面に映り込んじゃってたなんていう事態が起こることもあるでしょう。これ、なんとかならないものか……。
オススメは「ニコン結び」
オススメするストラップのつけ方がこちら。通称「ニコン結び」。
もともとニコンのカメラの取扱説明書に書かれているストラップのつけ方なのでこう呼ばれるようになった(実際にはニコンでもカメラによって別のつけ方が説明されていることがあります)と言われていますが、古くから報道関係をはじめとしたプロフェッショナルカメラマンがこの装着法を採用していたので、「報道結び」「プロ巻き」などとも呼ばれます。
写真を見ただけではどうやって取り付けられているのかわかりにくいと思いますので、取り付けの手順を説明しますね。
「ニコン結び」の手順を説明!
①PPテープ部をアジャスターとサルカンにくぐらせた状態で、カメラ側取り付け部に「外側から」通します。
②ベルトをサルカンをくぐらせてから、アジャスターの「カメラに遠い側」のスリットに「内側から」通します。
③そのままアジャスターのカメラから近い側のスリットへ。これでPPベルトの先端部分は二重になったベルトの内側に入ります。
④長さを調節し、たるみをとります。すっきり。反対側も同様に取り付ければ完了です。
見た目にもスマートで、ちょっとやそっとで緩むこともなく、ベルトの端が顔に当たったり目に入ったりすることもありません。
特に、望遠レンズを装着した一眼レフなど重量級のカメラだと、ストラップ自体の強靭さもさることながら、いかにストラップがきっちりと取り付けられているかという点が死活問題となってきます。その点、この「ニコン結び」は、力がかかる方向の反対側からベルトをアジャスターに通すのと、ベルトの端が表側に出ないのとで、ベルトが緩んだり不意に外れたりしにくい形になってもいます。イタズラにも遭いにくいですね。
付け外しや、長さの調整には少々手間がかかりますが、筆者の経験上、一度長さを決めてしまえばそうそう頻繁に長さを調整することはないので、特にデメリットにはならないでしょう。
ぜひこの「ニコン結び」を試してみてくださいね。