みなさんはレフ板って知ってますか?丸くて白い板で、撮影で使うもの…というのはご存じの方も多いはず。今回はレフ板の種類と、どんな効果があるのかを見ていきましょう。プロの視点から見た「レフ板選び」についても語ります。
目次
「レフ板」ってなに?
レフ板は英語で「Refrector(リフレクター)」といい、つまり光を反射させるもののことです。
写真は、光を観察し、コントロールする芸術。レフ板はおもに「外ロケ」や、「ロケーション撮影」と呼ばれる屋外の撮影で使用しますが、この機材を使うことで太陽の光を反射させ、足りない光を補ったり、光のニュアンス(光質)を変えたりすることができます。
レフ板は「ゲレンデマジック」を起こす魔法の道具
ゲレンデマジックというのは、スキー場で会ったメンズ(またはレディース)が通常より何割増にも盛って見えてしまうという、世にも素敵な錯覚効果です。
ウェアやサングラスなどの影響もありますが、重要な要素としてスキー場の光と雪があります。
冬場の厚い雲を通して拡散した光が周囲の白い雪に反射され、全体的にやわらかいレフ板効果を生み出し、影のない美しい肌に見えてしまうのがゲレンデマジックです。
レフ板を使って太陽の光を反射させると、ゲレンデマジックと同じレフ効果を生み出すことができます。基本的には太陽光下の屋外で使用しますが、屋内で行うストロボ撮影時にも使うことはあります。
キャッチライト効果
もうひとつの重要な効果としては、キャッチライトがあります。人物撮影時に、瞳の中に光を入れて生き生きと見せることができます。丸レフを使うと、とてもきれいなキャッチが入ります。
レフ板の種類
レフ版の色
・白レフ/銀レフ
それぞれ、片面が白レフ、もう片方の面が銀レフになったものです。光の強さによって白と銀を使いますが、特に一番使うのは白レフです。おもに、暗くなっている影を明るくするような使い方をします。
銀レフは、ややくもって太陽光が弱いときに使うことが多いです。太陽光が弱いと白レフではあまりレフ効果が出ない場合があるので、銀レフでしっかりと光を反射させます。
逆に、太陽光が強すぎるとギラギラとテカった描写になりやすいので(あえてそのような雰囲気がほしいとき以外は)、注意が必要です。
・白レフ/黒レフ
白レフ部分は「白レフ/銀レフ」と同じなのですが、反対側の面が黒になったレフです。シャドウ側を暗くしてドラマチックな光にしたいときに使用します。
屋内で使う大型ストロボと相性がいいんですが、もっと大きな板(片面が白、もう片面が黒のカポックと呼ばれるもの)がある場合はそちらを使うことが多いです。
・白レフ/金(ゴールド)レフ
使用する機会は多くないのですが、金色の面を使うことでオレンジっぽい色がプラスされるため、被写体にあたたかみのある雰囲気になります。
ただ、オレンジ色が強くなりすぎることもあるので、注意が必要です。
・半透明レフ
半透明のものは、ディフューザーと呼ばれて通常のレフとは区別されます。直射日光など、強い光を和らげるために使います。
レフ版の形状
・丸レフ
その名の通り、丸い形をしたレフです。くしゅっと折りたたむとコンパクトになります。軽いので持ち歩きにも便利です。
また、目の中に入るキャッチライトの形が円状できれいになります。
・楕円形
縦長の楕円形レフです。丸レフのデメリットは、反射面が小さくなってしまうこと。そのため、腰から上や、全身の撮影だといまいちレフの効果があるのかないのか、わからないことが多いんです。
楕円形であれば反射できる面が大きいため、全身撮影でも安心です。
ポートレートやファッションの撮影が多いフォトグラファーは多用しています。
・三角形
実際には三角形ではないのですが、丸レフに取っ手がついて手持ちできるようになったタイプです。
撮影時にレフ版を使うためにはアシスタントとして撮影補助できるスタッフがいないとダメなのですが、このタイプはひとりでも撮影できるのでおすすめです。丸レフや楕円形レフと同じく、折りたたんでコンパクトに収納できます。
・スクエア(長方形)
四角い形のレフです。丸レフの「照射面が小さくなってしまう」という欠点をカバーした形です。角の方までしっかりと光を反射できるため、クローズアップから全身まで幅広い撮影に対応できます。
ポールと布を組み立てる形状のものがありますが、ほかのレフよりも持ち運び時に若干大きく、重くなる点が欠点です。
プロフォトグラファーの視点では、どのレフ板がおすすめ?
1. ロールレフ(スクエア・長方形)「白/銀」
僕のおすすめは、圧倒的にスクエア(長方形)レフの「白/銀」です。
もともと一般的な丸レフを使っていましたが、反射面が小さくて全身の撮影時にレフ効果が弱いのが不満でした。
僕の場合は撮影時に「寄り」「引き」とどんどんカメラのアングルを変えていくので、大きいレフの方がいいんですね。
そこで、組み立て式のロールレフ(スクエア)というのを買ったところ、自分のスタイルにどハマリしたのでずっと使っています。(いつもアシスタントちゃんが持ってくれているので、「使っています」というのもヘンなのですが…)
それと折りたたみ式のレフって、銀レフの塗装が使うたびに少しずつハゲてくるんですよね。
黒いパンツを履くことが多いのですが、キラキラの粉がけっこうついちゃいます。もう、完全にグラムロックですね。
あと、周辺のバネ部分が徐々によれて、全体がメビウスの輪のように曲がってきます。
そのため、撮影時に毎回使う人は定期的に買い直す必要があります。(一般的に安価なものほどへたりやすいです)
ただ、組み立て式のローフレフはしっかりしているので、銀の塗装がハゲることもなく、長く使えています。
人によっては瞳に入るキャッチライトが四角くなるのでキライという人もいますが、僕はぜんぜん気にしません。(そのへんは好みです)
2. 三角形(持ち手付き)レフ
つぎに、三角形(持ち手付き)のレフです。ハンドルがあるのでひとりでも使用でき、ちょっとした撮影でも使えるので便利です。片手でカメラを持ちながらもう片方の手でレフを使うのは、このタイプしかできません。
スタジオ内でのちょっとした撮影でも便利です。ブツ撮り時にも利用できます。
「白/銀」と「半透明(ディフューザー)」の2種類を持っておくといいです。
初心者におすすめのレフは?
まずは、定番の丸レフの「白/銀」です。
僕が使っているロールレフや三角形(持ち手付き)のレフは少し値段が張るので、最初は安価なレフを使い倒した方がいいです。
最近は、3,000円ぐらいから購入できるものがあるので、うらやましいです。
余裕ができたら、もっといいものを買いましょう。
丸レフを買う際には、僕は少し大きめのサイズを選んだ方がいいかなと思うのですが、人によっては、屋外撮影中に目立ちすぎるのであまり好きではないという人もいます。(いかにも「撮影してる」感が出るので、通りすがりの人に声かけられることもあるので大変ではあります…)
自分の撮影スタイルによって、チョイスしてください。
安価なものなら、MサイズとLサイズの両方あってもいいです。
レフ板はマストという結論
今回は、レフ版の種類と選び方についてまとめてみました。基本的に、ポートレートやファッションを撮影するフォトグラファーは、最低1~2個はレフ板を持っていると思います。
レフの当て方って練習をしないと最初はわかりづらい部分もあるので、早めに慣れておくことをおすすめします。
僕は、レフを使わない自然な写真も好きです(笑)。
いろんな選択肢の中から、表現方法を選べるといいですね。