写真撮影のときに、フォトグラファーはどうやってシャッタースピードを決めているのでしょうか?何かと難しい印象がある「シャッタースピード」について、どのような数値が適正なのか、わかりやすく解説していきます。
目次
今回の内容について
写真撮影といっても幅広いので、おもに「屋外での撮影(人物撮影、スナップなど)」と「スタジオ撮影(人物撮影、商品撮影)」に絞った内容にまとめています。
「風景写真」などの分野にも当てはまらないことはないのですが、基本的には「手持ちで被写体を撮影するとき」に、シャッタースピードをどのように設定すればいいかをお伝えします。
シャッタースピードとは?
一眼レフカメラ、ミラーレスカメラ、インスタントカメラなど、ジャンルを問わずカメラにはシャッターボタンがついています。「シャッタースピード」は、シャッターが開いている時間のこと。
本体周辺のダイヤルなどで設定することが多いのですが、以下のような数値があります。
1s
1/2
.・
・
・
1/30
1/60
1/125
1/250
それぞれ、1/2秒〜1/250秒という意味です。ちなみに1sは1秒(1second)です。
カメラのファインダー(ピントを合わせるのぞき窓)や液晶画面では「1/」が省略して表示されることがあり、「250」という数字が「1/250」を表す場合もあります。
シャッタースピードと「ブレ」の関係
まず、シャッタースピードを決める上で大事な要素に「ブレ」があります。
シャッタースピードが遅すぎると、ブレた写真になります。
この「ブレ」には、2つの種類があります。それは「手ブレ」と「被写体ブレ」です。
手ブレ
カメラを持っている手が撮影時に動いてしまい、背景を含めた全体がブレてしまうことを「手ブレ」と言います。
被写体ブレ
被写体(おもに人物)が動くことで、人物だけがブレてしまうことを「被写体ブレ」と呼びます。人間の体というのは完全に止まっていることはなくて、じつは細かく動いています。シャッタースピードが遅いと、それほど激しく動かなくてもブレてしまうときがあります。
ひとことで「ブレた写真」と言っても「手ブレ」と「被写体ブレ」という異なる原因があり、また「手ブレ」「被写体ブレ」の両方が影響している場合もあります。
ブレない写真を撮るとき(あるいは、わざとブレた写真を撮るとき)は、この2つを分けて考える必要があるのですが、少し難しくなってしまうので、まずは「シャッタースピードを速くすることで、ブレない写真になる」とシンプルに覚えておきましょう。
シャッタースピードを決める上で重要な「1/125」秒
さて、前置きがかなり長くなりましたが、1/125秒という数値はすごく重要になります。必ず覚えておいてくださいね。
それでは、シャッタースピードの設定について、スタジオ撮影と屋外の撮影(外ロケ)にわけて説明していきます。
スタジオ撮影
スタジオ撮影では1/125にセットする
スタジオで、プロ用のストロボ機材(モノブロックストロボ、ジェネレーター型ストロボ)を使用して人物や商品を撮るときは、シャッタースピードを1/125にセットしてください。
なぜ?と思うかもしれませんが、説明が長くなるので今回は省略します。まずはそういう決まり!と覚えましょう。
一度1/125秒にセットすると変更することはほとんどないので、簡単です。
スタジオで撮影するときの注意点
ボディ本体のダイヤルでシャッタースピードを設定するタイプのカメラの場合、撮影時に指が触れてしまって、シャッタースピードが変わってしまうときがあります。
気づかないうちにダイヤル部分を触り、シャッタースピードが1/160秒や1/90秒になってしまうと、写真の一部が暗くなってしまったり、ブレの原因になったりすることがあります。
特に長時間撮影をしているときはこういったミスがないように気をつけて撮影しましょう。
できればシャッタースピードのダイヤル部分に、黒いパーマセルテープを貼ってずれないように止めておくといいです。(なぜ黒を使うのか?というと理由があります。カメラのボディと同じ色のテープを使うことで、被写体に不要な写り込みがないようにするためです)
屋外の撮影
屋外の撮影では1/125以上
屋外の撮影では、1/125秒以上にシャッタースピードをセットしてください。
基本的に、1/125よりも遅いシャッタースピード(1/90、1/60)だと手ブレが発生しやすくなります。
特に仕事で撮影をするときには、失敗は許されません。
「なんとなく撮影して、数枚ブレていました」では再現性がないし、安心して仕事を頼めないですよね。
(90年代など、そういうスタイルが一部許されていた時代もあるのですが)
また、望遠レンズ(135mm以上など)を使用する場合には1/125でも手ブレするときがあるので、注意が必要です。望遠レンズの場合は、1/250秒以上にセットしましょう。
レンズの画角÷100という計算式も
屋外撮影時のシャッタースピードに関しては、もうひとつ考え方があります。
人によっては「レンズの画角÷100」以上で撮れば大丈夫、という方もいます。
例えば50mmの画角で撮影している場合は1/50以上、85mmの画角は1/85以上という感じです。
この場合、「広角の28mmは1/28以上であればブレない」という計算になるのですが、そもそもカメラの持ち方は人によって違いますし、カメラの性能も年代や機種によって異なります。
絶対にブレないとも言えないので、あくまでも目安として考えてください。
例えば、こんなときには有効です。
夕方に撮影をしていると、気がついたら手持ちで撮影できないほど周囲が暗くなってしまった。さらに、今日に限って三脚を持ってくるのを忘れてしまった。
暗いので、1/125秒のシャッタースピードを確保するのが難しい。
ただ、どうしてもこの状況で手持ち撮影をしなければいけない。
この場合、広角寄りの画角の方がブレにくいので、28〜50mmくらいにレンズの画角をセットして、シャッタースピードを1/60〜1/90秒くらい(レンズの画角÷100以上)で何枚か撮影することで、可能な限りブレを回避することができます。
このあたりは少し難しいテクニックになってしまうので、最初はあまり覚えなくても大丈夫です。
暗いときには、無理せず三脚を使いましょう(笑)。
そのほかの注意点
手ブレ防止機能はONにする
カメラやレンズに「手ブレ防止機能」や「手ブレ補正」が搭載されていることがありますが、なるべくONに設定しておいた方がいいでしょう。ONにすることによって、不要な手ブレを防ぐことができます。
カメラによっては、内蔵の手ブレ防止機能によって、シャッタースピードを遅くしてもブレにくくなるものがあります。
例えば、僕が使っていたオリンパスのミラーレスカメラは、5軸手ブレ補正がついていて、1/15秒で撮影してもブレませんでした。(正確に言うと「ブレにくく」なります)
まとめ
今回は、写真撮影時のシャッタースピードについて、解説しました。
とにかく1/125秒または12/5秒以上!と考えていれば、不必要なブレを減らすことはできます。
僕自身はブレている写真が好きだし、表現方法としてはとてもいいと思うのですが、ブレた写真を撮るときには「計算してわざとブラす」ようにしています。
ざっくり計算した上で、たまたまブレちゃうんですが。
まぁ、それが僕の作風ですね。
まずは基本ルールに則った上で、たくさん枚数を撮っていくうちに感覚がわかってくるはずです。いろいろな被写体を撮影してみてください。