ホットペッパービューティーや楽天ビューティー、雑誌のヘアカタログなどのカメラマンになるにはどうしたらいいのでしょうか?どれくらい稼げるのかという金銭事情も含めて、業界知識をまとめてみました。
目次
ヘアサロン(美容室)での撮影とは?
特にフリーランスとしてスタートしたばかりのフォトグラファーには身近な撮影です。
最近ではオンラインで美容室を探す人が増えているので、ホットペッパービューティーや楽天ビューティーといったサイトに関する仕事がもっとも多いでしょう。
また、書店に並ぶヘアカタログなどの紙媒体(多くはファッション雑誌の別冊)での仕事もあります。
ヘアサロン側としても、新規のお客さんを開拓するための写真はつねに必要です。髪型のトレンドも毎年変化していきます。
髪を切らない人はいませんからね(笑)。
そのため、一定数の撮影需要がある分野だと言えます。
ヘアサロン撮影のメリット
・間口が広い
最近ではそこまで高い技術レベルが必要とされないため、機材が十分に揃っていなかったとしてもチャレンジできます。ただ、ヘアサロンの方々は、他業種よりも「撮影慣れしている」ことから、お店でそれなりにいいカメラを購入しているケースも多いです。最低でもプロ用の一眼レフカメラで撮影した方がいいでしょう。
・コネクションができる
撮影に関わる人たちとのコネクション(つながり)ができる可能性があります。美容師さんの中には雑誌や広告のヘアメイクとして活動する方もいます。また、サロンモデル(サロモ)と仲良くなって、後日一緒に作品撮りをする、ということもあります。
・多くの人に喜んでもらえる
ヘアサロンの撮影にはいろいろな人たちが関わります。「かわいい写真」「かっこいい写真」を撮ることで、お店のイメージアップに貢献できたり、新規にお客さんに足を運んでもらったりすることができます。
・1日に複数の現場をこなせる
撮影によっては拘束時間が短いため、1日に複数の件数をこなすこともできます。(ときには想定より長い場合もあります)簡単な撮影であれば30分前ほどに店舗入りし、機材をセッティングしてスタート、撤収を含めて撮影開始時刻から1時間程度、という感じで終了します。
・ビューティーフォトやレタッチの基礎が学べる
バストアップの写真は「ビューティーフォト」といって、人物写真の中でも特別なジャンルとして区別されます。いろいろな撮影を通して新しい機材を試しつつ、ビューティーフォトやレタッチ(肌の色味やトーンなどを現像時に調整すること)の基礎を学べます。
ヘアサロン撮影のデメリット
・高額な報酬を得にくい
以前に比べてそこまでつくり込んだ撮影をしなくなっているため、短い撮影で報酬も安価というケースが増えています。一般的な企業に比べると個人経営の店舗が多く、予算が限られているということも少なくありません。
・プロに依頼しない美容室も増えている
美容師さんの中には写真を撮るのが得意な方も多く、写真好きからそのままフォトグラファーに転身してしまう人もいます。インスタに載せる簡単な写真程度なら、自分たちで撮ってしまうということが増えています。
・継続した仕事になりにくい
毎回、外注で撮影を依頼するお店ばかりではないので、よほどのコネクションがあってお店に指名されない限り、毎月のように同じ店舗で撮影を行うという機会は必然的に少なくなります。
・待ち時間が長いことも
ヘアスタイルや衣装にこだわって撮影するケースだと、ヘアセット(仕込み)に長い待ち時間が発生する場合があります。目安の仕上がりの時間を教えてくれて入り時間を調節してくれるお店も多いのですが、ときには長時間の撮影になることも想定して予定を組んだ方がいいでしょう。
ヘアサロン撮影を始めるには?
ヘアサロンの撮影を行うには、お店から直接撮影を依頼されるというのが一番スムーズです。サロンスタッフのみなさんはふだん忙しいのでわりと口コミでの紹介という場合も多く、美容師やヘアメイクの友達を経由してオファーがくることもあります。また、そのほかには撮影マッチングサイトなどを利用して案件を獲得する、という方法もあります。
なんらかの見本写真があった方がいいので(ヘアサロン撮影に限らず、見せられる写真が1枚もないと厳しいです)、ポートレート撮影などで腕を磨いて作品をつくり、素敵な写真が撮れることをアピールできるようにしましょう。
どれくらい稼げる?
店舗や撮影内容によって異なりますが、拘束時間が短い簡単な撮影だと、1カット数千円ほどというのが一番安価な報酬設定です。
まとめて撮影を行うケースや、さらに肌修正などのレタッチが加わると、合計で数万円になることまでさまざまです。
ホームページやパンフレット、コンテストといったいろいろな用途に使う場合は、少し予算が大きくなります。
どんなフォトグラファーが求められる?
店舗で撮影を行う場合は、カメラと機材をコンパクトにまとめて移動できる、機動力が求められます。
また、デメリットの項目でも書きましたが、最近は自分で撮影ができるお店も増えています。
お客さんは毎日店舗を訪れるわけなので「このスタイルの仕上がりいいな」というタイミングで資料用の写真が撮れればベストです。
さらに店内は、白壁やアンティーク風の壁など、撮影向きの内装になっていることも多いです。そのため、そこまでこだわらなければ、そこそこいい写真が撮れてしまいます。
プロとして仕事をする以上、「プラスアルファの価値」を提示できないと、継続して仕事を依頼されるのは難しいかもしれません。
どんな価値を提示する?
人によってさまざまなのですが、例えば以下のようなものが挙げられます。
・ものすごくいい機材を使っている
・撮影経験や技術が豊富で、若手スタッフの教育につながる
・スタジオを撮影スペースとして提供できる
・撮影センスがずば抜けている(おしゃれな写真が撮れる)
・ライティング技術があり、凝った光で撮影できる
・店舗スタッフと仲が良く、「作品づくり」の情熱に応えられる
・撮影から納品まで、スピード感を持って対応できる
・写真だけでなく、動画も撮影できる
・モデル手配や衣装の手配を提案できる
・Photoshopを使った肌レタッチができる
このうち、最低でも1つか2つくらいは当てはまっていた方がいいですね。
それと「美」を売りにする店舗とやり取りするわけなので、最低限の身だしなみには気をつけるようにしましょう。
「人は見た目が100パーセント」という漫画原作ドラマがありましたが、100%と言わないまでも「おしゃれで素敵な写真を撮ってくれそう」という雰囲気を醸し出すことは大事です。
いずれにしても、いまは多くの人が写真を撮れる時代。
「プロでしかできないこと」をどのように提供するかというのが一番大切です。
特化型ジャンルでスキルアップを目指す
今回は、ヘアサロン撮影に関する情報をまとめてみました。
美容師ブームの頃の勢いほどはないとはいえ、「美容室での撮影」というのがひとつのジャンルとして確立されているというのは、冷静に考えてみるとすごいことです。
クリエイティブでやりがいのある分野ですが、ちゃんと差別化のできる写真を提示することが重要です。美容室の写真を極めると、ビューティーフォトグラファーという上級職を目指す道が見えてきます。
興味のある人は、ほかの記事でもいろいろな情報を掲載していますので、ぜひチェックしてみてください。