映画や海外ドラマ好きな人の中には「映画に関する記事を書いて、生活ができるといいな」と考えている人もいるかもしれません。ライターの中でも人気の高い分野のひとつでもある「映画ライター」について、どうすればなれるのか、どれくらい稼げるのかを解説します。
ライターとして、映画に関わる仕事ができれば素敵ですよね。
僕自身、ふだんはフォトグラファーという仕事をしているわけですので、当然のことながら(笑)映画好きです。いままでに見た映画は100本をかるく超えていますが、途中から数えていません。
ただ、ここ10年ぐらいはそれほど新作を追いかけているわけではないので、そこまで映画やドラマに詳しいかというと自信はないです。
ただ、モデルやアーティストの撮影が多いため、時々映画のプロモーション時に俳優さん、女優さんの撮る機会は多いです。
そんな中で、当然映画ライターさんと一緒にお仕事をすることは日頃から多々ありますし、チームで映画メディアの取材を担当させていただいたこともあります。
目次
映画ライターはどんな仕事?
一言で映画ライターと言っても、いくつかのタイプに分けられます。
順をおって見ていきましょう。
インタビュー取材に強いライター
まずひとつ目は、映画取材専業ではなく、アーティストや俳優を含め、対象者から話を聞き出すのに慣れているタイプです。個別取材と言われる出演者のソロ取材に駆り出されることが多いです。
専業ではないため、いつもの取材とは違った角度から話を引き出してほしい、という期待を込めてキャスティングされることがあります。
映画専業のライター
いわゆる「映画に強い」という特化型のライターさんです。
インタビューや映画評をはじめ、製作発表の記者会見取材、映画専門雑誌、WEBメディアの簡単なコラムまで、幅広い仕事をこなします。
キャリアが長い方は、個別インタビューなどを中心に仕事をしているケースもあります。
また、業界内で実績を積むことで、公開時のパンフレットに掲載するインタビューや文章を担当することもあります。
取材ライター
最近ではWEB媒体の仕事が多いのですが、映画やドラマ、舞台の製作発表を取材するライターさんです。いわゆる「囲み取材」で、登壇ゲストの発言を文章にすることが求められます。記事のタイトルや見出しでいかに読者を惹きつけるか、ほかの媒体にはない切り口で本文を書けるか、というテクニックが求められます。
そのためには、登壇者のプライベートな情報(最近婚約した、ふだんからアクション映画好き…など)をつねに頭に入れておく必要があります。
記者会見の場合、基本的には即出しで他の媒体よりいかに早く記事をアップするかが重要ですので、取材後2時間程度で原稿を書き上げる、みたいなスピード感も重要です。
囲み取材をこなして経験を積み、編集から信頼を得ることで、やがて個別取材への道が開かれます。
WEBライター
WEBメディアにおける簡単な映画、ドラマ、舞台についてのコラムや、公開時のプレスリリース(報道関係者向け資料)を記事にする仕事です。DVDやBlu-ray発売に合わせた記事作成や、ハリウッド俳優・女優のゴシップネタまで、さまざまな内容があります。
たくさんの案件をこなすうちに知識も増えていくので、映画ライターの入り口としては一番身近であると言えるでしょう。
英語インタビュアー
「インタビュー取材に強いライター」の一種ですが、英語力があると俳優さんや映画監督の来日時にかなり重宝がられます。
映画ライターは稼げる?
「稼げるかどうか」という点では、必ずしもYESと言い切れないのが映画ライターの仕事です。
もちろん、キャリアを積むうちに高単価の仕事をこなせるようになりますが、そうは言っても、映画公開時に、事前に渡されるDVDを見て内容を予習したり、普段から最新情報のアップデートが欠かせなかったりと、稼働時間外の努力は必須なため「本当に好きでないとこなせない仕事」であることは間違いありません。ある意味、職人の領域かもしれません。
好きなことを極めていった結果、報酬が伴えばラッキーですが、お金だけを目的としていると辛くなってしまうでしょう。
ただ、「だれにも負けない専門分野がある」というのはとても強いです。本数をこなし、メディアから信頼されることで、毎月定期的に仕事をもらえるようになります。
報酬の単価としては、簡単な記事作成や記者会見の囲み取材は数千円程度から、個別インタビューだとさらにアップします。また、メディアの母体が大きくなるとギャラの単価はさらによくなります。
英語インタビューに関しては通訳としての仕事も含まれるので、一般的な費用感よりも1.5~2倍以上にはなるでしょう。(取材単価を個別に設定しているライターさんもいます)
どうすればなれる?
映画・ドラマ関連のメディアやカルチャー系のメディアで、時折ライター募集が行われます。人気の分野だけに競争は激しいのですが、入れ替わりもあるのでタイミングと運によってはすぐチャンスがもらえることもあります。
ただし、継続してお仕事をもらえるかどうかについては、媒体との相性やその人のスキルにもよるので、一概には言えません。
最初のやり取りの際に「取材もできますか?」と相談されることがあるため、原稿作成だけなく、取材もできるとライターとしてかなり強みになります。
中でも、個別取材の担当に憧れる人は多いかもしれませんが、例えば映画を専門とするメディアの場合、その道何十年の猛者がひしめいているので、上がつまっています。
カルチャー系のメディアの方が、「ときどき演者や製作者のインタビューをする」という感じなので、キャリアが浅くても入り込みやすいと言えるでしょう。
また、映画メディアに一度就職して、何年か働いたのちに退職後、フリーのライターとなり、そのままもといた職場の仕事を続けるというケースも王道です。
編集部としても細かいルールを説明しなくていいですし、場合によっては取材先へのアポ取りから入稿まで任せられるため、楽だというメリットがあります。この場合、経験年数にもよりますが編集部時代に引き続き、個別取材を担当することも多く、キャリアを積みやすいです。
もちろん、円満退社が重要です(笑)。
「好きを仕事にする」ということ
長々と説明しましたが「好きを仕事にする」というのは、なかなか難しい部分もあります。
繁忙期になると眠い目をこすりながら資料に目を通し、深夜までDVDを見て(しかもあまり興味がないジャンル 泣)、原稿を書く…という日々の繰り返しになることも珍しくありません。
やりがいがある仕事ですが、「映画やドラマは好きだけど、趣味程度にしておいた方がいいかな」という人は、ひょっとすると避けておいた方がいい可能性もあります。
興味がある人は「好き」と「仕事」のバランスを考えつつ、関わる方法を考えてみてください。