フォトグラファーとして、時折モデルの面接やオーディションに立ち合うことがあります。
「モデル事務所に所属したい」「モデルの仕事をしたい」という人に向けて「モデルを選ぶ側」から見た、なぜ採用にならないかという基本的な理由について、今回はお話したいと思います。
目次
僕自身のプロフィール
フリーランスとして独立して20年以上、広告やファッションの仕事をたくさんしてきました。
また、商業撮影向けの撮影スタジオを運営している関係上、日々多くのモデルさんをキャスティングする側でもあります。
過去には、オーディションで審査をする機会も。
オリコンさんがやっていたデ⭐︎ビューというオーディション雑誌がまだあった頃、当時と編集長や、有村架純さん所属の事務所の方と一緒にオーディションをしたことも。いい思い出です。
うちの事務所でもモデルさんにお仕事をお願いする機会が多いため、日々、メールで届く資料を見ていますが、「ここが惜しい!」「これだとオーディションに受からない」と思うことがよくあります。
インスタのアカウント”しか”ない
最近はSNS、特にインスタグラムをやっている人が多いので、インスタのアカウントを持っている人にはIDを送っていただいています。
ただ、インスタのアカウントしかないと、判断に困ってしまう…ということも多いです。
僕は律儀に毎回、ほかに写真はないでしょうか?とおたずねしていますが、大手事務所の募集だと応募者が非常い多くなるため、インスタのアカウントしかない時点で落とされてしまう可能性もあります。
本気でオーディションに通りたい人は、宣材写真を撮りましょう。
写真を加工しすぎている
これも、特にインスタの写真にいえることですが、”加工しすぎ”の写真が多すぎます。
フィルターをかけすぎて、顔の形や目の大きさも変えてしまっていると、仮に書類選考で通ったとしても、面接では確実にネガティブな印象を与えてしまいます。
基本的には「加工していない、正面から撮影したバストアップ写真・全身写真」が必要です。
インスタのアカウントに本人の写真が載っていない
これもよくありますね。食べ物の写真だけとか。友人なのか、本人なのかわからない写真が載っていて、どの人が本人なんだろう?と悩んでしまうこともあります。
体のラインがわからない
「ファッションモデル」の宣材写真に限っていえば、ボディラインの情報はどうしても必要になります。
テンプレになりますが、白いTシャツと細身のデニム(スキニー)のコーディネート写真は撮影しておいた方がいいですね。
アーティスト寄りの人や、美容モデルの場合、全身のラインは必ずしも必須ではありませんが、ファッション撮影だと「Aラインのワンピースが似合うか」「細身のジャケットを着用したときにどうなるか」という
基本情報が不足している
インスタ @xxxxx
3サイズ 測ってないのでわかりません
足 24cm
これだけ送られても、残念ながら判断できません。
3サイズがわからない場合は100円ショップでメジャーを買って測りましょう。測り方はネットですぐに調べられます。
一部のアパレル店、たとえばスーツ専門店などでスーツを購入する際には、測ってもらえることもあるようです。
できればきちんと情報を記載して、過去の撮影経験有無や、なぜ応募したかという理由も簡単に書き添えた方がいいでしょう。
ちょっとした表現でその人の人柄は伝わるものです。
長文で長々と記載する必要はありませんが、メール=書面でのやりとりは重要なコミュニケーションです。「会ってみたいな」「ちゃんとしてるな」という印象を与えるような文面にしましょう。
モデルの経験がない場合は、経験がないとはっきり書いてOKです。けしてマイナスにはなりません。
最後に
今回は、モデル募集やオーディション募集を受ける人に「なぜ受からないか」という基本的な理由をご説明しました。
あらためて並べてみると、当たり前すぎる基本的なことばかりなのですが、なぜあえて書くかというと「当たり前のことができていない」ということがわりと普通にあるからです。
逆に言えば「ある程度しっかりしたプロフィール」をつくって応募すれば、採用の確率はぐっと高まります。
プロのモデルになれるかどうか、その大きな分かれ目は「熱量」です。
これは、プロフォトグラファーになるにしても同じですね。
それと「選ぶ側」の気持ちになって、しっかりした作戦を立てること。
夢が叶うよう、ぜひがんばってくださいね。