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フォトグラファーという仕事は、アーティストよりアスリートです

2020年5月30日

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フォトグラファーという仕事は、アーティストよりアスリートです

2020年5月30日

写真の仕事をしていると、フォトグラファーってアスリート的な感覚に近いなと感じることが多くあります。スポーツと共通するポイントを押さえることで、きっと写真がうまくなるはずです。

練習を重ねるとある程度うまくなれる

何度も撮影をこなすことで、それなりの技術は身につきます。つまり、スポーツの練習と同じです。
撮った写真を翌日以降に見直して、つぎ撮るときに少しずつ改善していく。
ただ、やみくもに練習量を増やしたからといって、うまくなれるとは限りません。
頭を使うことも重要になってきます。

もらったチャンスを「決めきる」ことが重要

経験がなくても、チャンスをくれる人は必ずいます。
そうしたときに、先方の期待値を超える、120点のものが提示できるかどうか。
少なくとも合格点を超える何かを提示できれば、つぎの仕事につながります。
逆に、チャンスをものにしないとすぐに切られる可能性もあります。
もちろん優しいデザイナーや編集者もいますが、発注者は予算も選択肢もある中で、あなたを指名しています。
基本的に、相手の気持ちや生活などを配慮してくれることはありません。
もし使えなかったとしても替えの選手はたくさんいます。
厳しいようですが「ワンチャンスを決めきる」という覚悟で撮影に臨むことが大切です。

一瞬を逃さない「瞬発力」が大事

どんな撮影でも、一瞬を逃さない瞬発力が求められます。
いい写真が撮りたければ、どこに陣取るかというポジショニングも大事。スポーツや結婚式、ライブの写真であれば被写体の動きを予測して、いいアングルで写真が取れる場所にいち早く移動しておくことが求められます。
「人がたくさんいた」「時間がなかった」「担当者がいなかったから聞きそびれた」といったことはすべて言い訳です。
いい写真が撮れなければ、どれだけ言い訳をしても無意味です。

失敗ができない

本番の撮影には、練習試合はありません。どんなときも、ビッグゲームです。
チャンスをもらったときは「1軍の試合に呼ばれた」という気持ちで撮影に臨むことが大切になります。
「写真が写っていなかった」「使えるものが撮れていなかった」「大事なカットがブレていた」ということは言い訳になりません。
撮影には大きな予算がかかっていることがあり、多くの人たちが連動して動きます。最後にシャッターを押すのはフォトグラファーの仕事です。
その緊張感が醍醐味ではあるのですが、失敗はできません。
また、初めての現場でも物怖じしないハートの強さが必要になります。

基本的には体力勝負

写真は一瞬を切り取る芸術ですが、基本は肉体労働です。
重い機材を持って移動するときもありますし、体調管理が重要です。
パフォーマンスが落ちると仕事に影響が生じるので、つねにコンディションをいい状態に保つことが求められます。

最後はクリエイティブな感性が求められる

体力勝負!でありながら、最後は創造性が大事になります。フォトグラファーはライティングの指示やメイクやスタイリングの直しなど、絵作りの判断を下す現場監督として振る舞うこともあります。つねに、俯瞰で物事を見ないといけません。

いつだって孤独

撮影者は、基本的に孤独な表現者です。
現場でテンパっても、だれも助けてくれません。
また、仕事がないときや、うまくいかなかったときにもメンタルが落ちないよう、心も整えておく必要があります。

僕の経験から言えること

ある大きな広告キャンペーンの撮影を行ったときのこと。
横浜近くにある大きなスタジオでの仕事でした。
タレントさんのメイクが仕上がり、いよいよ本番がスタート。撮影前には集中していたのでわからなかったのですが、気がつけば20人近いスタッフが僕のまわりを囲んでいました。
広告代理店と制作会社のスタッフ、クライアントの担当を合わせただけで約10名。ヘアメイク、スタイリストとそれぞれのアシスタント、カメラアシスタントに加え、タレント事務所のマネージャーもいます。
言ってみればそれだけのプレッシャーを背負ってシャッターを切るわけですが、すでにほかの現場でもかなり経験を積んでいたため、心地よい緊張感を感じていました。

最後に

今回は「フォトグラファーってアスリートに近い」という僕の持論について語ってみました。僕はポートレート(人物写真)が中心なので特に感じるのですが、もっと静かに落ち着いて撮る撮影もあります。その場合はもっと緻密に計算する割合が増えると思いますが、いずれにしても、自分からチャンスをつかみに行く、ハンター気質の人が向いているのは事実です。
どれだけ事前にシュミレーションしても、毎回違った現場だし、そのつどベストが求められる。プレッシャーもあるけど、だからこそやりがいがあるというのが、写真という仕事の面白さです。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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