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現場は24時を回ってる【撮影や取材で使うミリタリータイム~17時など】

2020年4月25日

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現場は24時を回ってる【撮影や取材で使うミリタリータイム~17時など】

2020年4月25日

広告や雑誌、TV番組制作などの撮影業界では、独特の方法で時間をカウントします。開始時刻は早朝、終了時刻は深夜となることが多く、日程の変更も頻繁に起こるからです。時間のカウント方法について、具体的な理由と使い方をご紹介します。

集合時刻、終了時刻などのカウント方法

撮影業界では、基本的に1時から24時までの「24時制」で時間をカウントします。
集合時間が朝の5時で終了予定時間が午後3時だった場合は、

集合 5時(ごじ)
終了 15時(じゅうごじ)

という風に伝えます。
理由としては「3時」「4時」「6時」と言っても、はたして午後の3時なのか、午前3時なのかがわからないからです。

ファッション撮影ロケの場合

一例を挙げると、ファッション誌のロケでは早朝5時頃に集合し、メイクアップを行い、その後にロケバス(移動&待機用のマイクロバス)でロケ場所まで移動して撮影。
午後は少し遅めの時間にランチを取って夕方までロケ撮影。
そのままロケバスで撮影スタジオまで行き、スタジオ内で人物カットを撮影。
といったスケジュールがもともと一般的で、こうした撮影ルーティンは「ロケスタ」(ロケ撮影後にスタジオ撮影を行うこと)という専門用語で呼ばれています。
さらにその後、簡単な商品撮影(ブツ撮り)も行う場合は深夜までかかることも少なくありません。

料理撮影やTV番組の場合

そのほかに、有名チェーンレストランのグランドメニュー撮影や、百貨店のカタログ撮影といった料理撮影も1カットあたりの準備に時間がかかるため、繁忙期には早朝から深夜までスタジオにカンヅメになることがあります。
また、映画やTV番組に関連する撮影も、収録が押して深夜になるというケースはあります。
最近はいろいろな業界で残業減を推進しているため、以前よりこうした機会は少なくなりましたが、それでも「長時間に渡る撮影」はまだまだ行われているのが実情です。

以上は実際の事例ですが、要するに6時といっても何時なのかわかりにくくなってしまうため、

6時(AM6時)
18時(PM6時)

という風に、スタッフ同士は24時制で時間を伝達し合います。
香盤表(こうばんひょう)と呼ばれる当日の日程表にも、1~24時の24時制で時刻が記載されていることが多いです。

24時制の特殊な例

問題は、何らかの理由で撮影が押してしまい、ときどき24時(夜中の零時)を回ってしまうケースがあることです。その場合は、

25時(にじゅうごじ・深夜1時)
26時(にじゅうろくじ・深夜2時)

という風に、24時+アルファの時間で表記します。
中には、香盤表を見ると「完全撤収29時」などと書かれていることが稀にあります。
そんなときは「あれ?29時って何時だったっけ……」と頭が真っ白になります(笑)。
ちなみに僕の最長撮影時間は、合間の待機時間も含めて30時間です。

また、すべてに当てはまるわけではないですが、
「7時」「17時」「27時」に関しては、

「7時(ななじ)」
「17時(じゅうななじ)」
「27時(にじゅうななじ)」

という呼び方をする人もいます。
僕の場合はこのように「じゅうななじ」という風に伝えるようにしています。

最初はロケバスのドライバーさんに教えてもらったのがきっかけですが、「しちじ」「じゅうしちじ」という風に読んでしまうと、万が一の伝達ミスが発生しやすくなるからです。
特にロケバスさんは、朝からスタッフをピックアップすることも多く、集合時間に絶対遅れてはいけない仕事です。
バタバタした電話口でのやり取りで「しちじ」を「いちじ」と聞き間違ってしまうと大変な問題につながります。
その話を聞いて以来、僕も「ななじ」「じゅうななじ」という風に時刻を伝達するようになりました。
いいな、と感じる部分はつねに取り入れて生かすようにしていきたいものです。

英語では12時制を使用する?

ちなみに余談ですが、英語で話すときに「24時制」を使ってしまうとネイティブとしては違和感を感じるそうです。
というわけで、外国人と待ち合わせする場合は午前8時でも午後8時でも「8(エイト)」と伝えて大丈夫です。
「24時制」はミリタリータイムといって、軍隊などで使用されるそうです。作戦遂行の時間を間違ってしまったら大変ですからね。。
そう考えると、12時制ではなく、24時制で開始時刻や終了時刻を表現するのは、時間に厳しい日本人ならではなのかもしれません。

あとがき

今回は、撮影現場における時間のカウント方法(24時制)についてまとめてみました。
今度から「終了は、じゅうななじですね!」と相手に伝えると、多少プロっぽく聞こえるかもしれません。
(もしくは、何この人……。と気持ち悪がられる可能性もあります)
それでも僕は「じゅうななじ」と言い続けるつもりです。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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