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ストックフォトのジャンルとは?人物、ビジネス、風景...【プロフォトグラファーが解説】

2021年3月19日

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ストックフォトのジャンルとは?人物、ビジネス、風景...【プロフォトグラファーが解説】

2021年3月19日

ストック素材、特にストックフォトに関してはさまざまな細かいジャンルがあります。なんとなく人物と風景は思いつくけど...という方もいるかもしれません。「これからストックフォトを始めたい」という人は、まずジャンルを分析することが大切です。それぞれの分野について、詳しく解説していきます。

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人物(ポートレート)

まさに人物を撮影した写真のことです。ポートレートは肖像写真という意味で、いわゆる人物を写したイメージのこと。人物写真と同じ意味と考えていただいて大丈夫です。
ストックフォト業界では売れ筋ジャンルのひとつですが、それだけに競争も激しいため、明確なコンセプトを決めて撮影するといった工夫が必要です。また、人物写真はさらにいくつかの細かいジャンルに分けることができます。

ライフスタイル

日常の自然なシーンをとらえたものを「ライフスタイル」と呼びます。

・家族がリビングルームで語り合っている風景
・ショッピング中の女性グループ
・ヨガ、フィットネス
・シニア世代と孫
・介護を連想させるイメージ

ビジネス

人物写真のライフスタイルと並び、ストックフォトの一大ジャンルのひとつが、ビジネスです。
中には人物写真やビジネス街の風景が含まれますが、おもに企業サイトや広告などで使用されます。

・複数名のビジネスパーソンが会議を行っている様子
・建設現場での工事風景
・オンラインミーティング
・カフェで働くスタッフ
・ビジネス街を歩いているシーン
・病院で働く医療スタッフ

をはじめ、さまざまな需要があります。

人物の「素材写真」

「ライフスタイル」「ビジネス」は人物写真でも需要が多いとされていますが、さらに単純な「素材写真」という観点では、以下のようなものもあります。

・白背景の職業イメージ
(20代の私服女性、スーツ、白衣、作業服、カフェエプロン、高校生)
・いろんな角度を指差した写真
・ホワイトボードを持った写真

いずれの場合も「かわいい笑顔」といった漠然としたイメージよりも「何かをしている」「手に何かを持っている」といったわかりやすい素材が求められる傾向にあります。
人物写真の中で、いわゆるいかにも「素材」的な写真は「笑顔」「怒っている表情」「腕組み」「目線あり・なし」など、一度の撮影で多くのバリエーションが撮れるため、大量生産が可能です。
ただ、簡単にたくさん撮れるということはそれだけに競争も激しい、ということを事前に理解しておきましょう。

人物写真の注意点

ストックフォトにおいて「人物(ポートレート)」を撮るときには、必ずモデルのサイン済み許諾書(モデルリリース)が必要になります。
モデルリリースがなくても販売は可能ですが、それぞれの人物には固有の肖像権というものがあります。
企業サイドとしては、肖像を利用する許可を得ていない写真は正直こわくて使えません。
必ず、モデルの許諾を得てから撮影するようにしましょう。
また、背景の写り込みや、身につける服にも気を配る必要があります。カフェやハウススタジオで撮影を行う場合、撮影場所の許諾書(プロパティリリース)が必要になることもありますので、あわせて注意が必要です。

風景

富士山、美しい山並み、桜の並木道など。美しい景色をとらえた写真は、さまざまな分野の広告宣伝物で用いられています。
特に1点モノの素晴らしい写真は、RM(ライツ・マネージド)としてカレンダーなどに使用されるケースもあり、利用料=フォトグラファーに支払われる報酬は一般的な写真に比べて高額となります。
ストックフォトの風景写真は、大まかにわけていくつかあります。ひとつは身近な街並みや風景を切り取って預ける方法。手軽に誰でも撮れるだけに、大きな売上をつくるのは難しい傾向にあり、「需要があるけど撮っている人が少ない」という、よりニッチな分野を攻める工夫が求められます。
そのほかには、特定の地域や季節モノを撮る方法。東京都内はフォトグラファーの人数も多いですが、ほかの地域であれば撮影者は少ないかもしれません。たとえば、人気のある富士山でもさまざまな角度から撮った写真があります。
「桜」「紅葉」「雪景色」など、特定の季節に使用されるカットを狙う方法もあります。ですが、仮に桜を撮影したとしても、撮影後に色調整を行なってアップロードする時間が必要なため、実際にプロモーション用途で使用されるのは翌年度になります。つまり、撮影後に素材が売れるまで時間がかかるため、短期的に「売れた「売れない」と一喜一憂するより、長期的な計画を立てることが重要です。

料理・食べ物

レストランやカフェで提供される料理の写真も、ストックフォトの一角を占めています。

・フルコースのフランス料理
・パンケーキ
・スイーツ(クッキー、和菓子、ケーキ)
・シズルカット
・カレー

いわゆる調理済みの料理のほかに、さつまいもやリンゴなど、食材そのものを撮影した写真も人気です。
料理写真の場合、当然ですが調理の準備が必要なため、1カットあたりの手間がかかるのがネックです。食材の購入費用も必要となります。
また、料理だけでなく、テーブルスタイリングと呼ばれるシーンづくりの工夫も重要です。
皿やテーブルクロスの種類、ライティングは明るめがいいか、少し暗めにするのか...などなど。撮影コンセプトによって、仕上がりの絵を決めていきます。
たくさんのカットを効率的に撮るというよりは、「売れそうなイメージを想定して狙っていく」というリサーチ力が必要になるでしょう。

スティルライフ

スティルライフ(Still life)とは「静物」の意味で、人物を含まないイメージカットのことを指します。

・スマホやタブレット機器
・パソコン
・イヤホン、ヘッドホン
・和風の雑貨
・コーヒーカップ
・観葉植物
・積み重なった本

など、あらゆる「モノ」のイメージカットがスティルライフに該当しますので、すでに紹介した食べ物の写真も含まれます。

ニュース関連

報道写真(エディトリアル)

どちらかというと特殊な例ですが、ニュース記事に利用される目的で撮影されたものです。

アメリカ大統領の就任演説
ニューヨークフィルムフェスティバルのポートレート
人種差別に関するデモの模様

といった写真が挙げられます。
一部のサイトでは「エディトリアル」といった名称でジャンル分けされています。

スポーツ

幅広い意味合いでは「報道」の中に含まれます。サッカーやラグビーなど、スポーツの1場面を切り取った写真です。おもにニュース素材として利用されます。
日本国内の企業ではアフロという会社が有名で、世界中のスポーツイベントの撮影を行っています。

「エディトリアル」には違う意味も?

エディトリアルはもともと「編集(の)」といった意味の単語です。ストックフォトサイトによっては、報道写真全般を「エディトリアル」というカテゴリに分けているところもあるのですが、人物写真、風景写真、スティルライフ写真などが雑誌や新聞に使われる場合も「エディトリアル用途に使用された」という場合があります。
似たような表現で混乱するときがありますので、気をつけてください。

動画

ストックフォトの発展形として、最近は動画のストック素材が盛り上がっています。
ストック動画のジャンルは、ストックフォトとほぼ同じです。人物、風景をはじめ、あらゆる種類の動画素材が求められています。
WEB CM、SNSでの動画広告、製品プロモーション動画用の素材など、使用用途は多岐に渡ります。
写真素材と同じく、素材のサイズ(HD、フルHD、4Kなど)で使用価格が決まるため、高解像度で撮影できるカメラ機材を使った方が無難です。

まとめ

ストックフォトとひとことで言っても、その中にはさまざまなジャンルがあります。
写真撮影を副業にしたいという人にも「人物写真が得意」「風景写真が得意」という風にそれぞれの得意分野があるでしょう。
まずは「自分に合った写真素材にはどういったものがあるか?」「興味のある分野で稼げそうかどうか?」をリサーチすることから、始めてみてください。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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